スワンボートを漕ぎながら

元文学部生のぼやきです

『血界戦線』 中二から大人まで

現在MBS、MX他にて放送中のアニメ『血界戦線』。

原作はジャンプスクエアにて連載中だそうです(未読…)

監督は『京騒戯画』や『プリキュア』を担当されていた松本理恵さん。若手監督らしく今後の活躍が非常に楽しみにですね。

厨二心が刺激される

毎話、厨二心を刺激されながら観ています。というのも、OPを「BUMP OF CHICKEN」、EDを「UNISON SQUARE GARDEN」が担当しているんですよね。自分が中二の頃聴いていたBUMPと、少し成長した頃に聞いていたユニゾンとあって、どこか懐かしさを覚えるアニメです。
厨二心をくすぐられるのは楽曲だけではありません。空想的な物語世界によっても刺激されます。

初めに断わっておくと、自分が用いる「中二」「厨二」という言葉の区別は、前者が年齢的な意味であるのに対し、後者が精神的な意味で用いています。ですので、闇・異世界・邪~・カタカナ表記・超能力に対する憧れや同一視を「厨二」と表記しておきます。厳密に両者の違いは無いのかもしれませんが、一応説明しておきます。あくまで個人的な定義ですが。

★★★

さて、上記の定義に当てはめると血界戦線はまさに厨二アニメです。一夜にして異世界に繋がった都市、その名も「ヘルサレムズ・ロット」。その不安定な都市の均衡を保つための組織として「秘密結社ライブラ」が存在する。一方、都市の均衡を崩すことを目的とする「~王」などの敵が現れ…。
設定からして大好きです。秘密結社は18世紀末のロマン主義を漂わせ、堕落王や偏執王などの異名も「悪の支配者」みたいで憧れます。

しかし、これはただの厨二アニメではありません。中二未満の子供から、中二を過ぎた大人まで楽しめるアニメなんです。なぜかと言うと、本作が「アメコミ的」であり「一味違った演出」をしているからです。

アメリカの大衆映画の影響

まずアメコミ的についてですが、これはもう他作品においても言えるかもしれません。簡単に言えば「大衆向け」作品ということです。正義と悪の対峙・コミカル・ロマンス・シリアスなどは、ポップカルチャー作品の基礎的要素です。本作品には、これらの要素が多分に用いられています。

例えば、主人公のレオにおいては、妹に対する過剰な罪悪感から組織に入団し、また個人的な恋愛も進めていく。しかし好意相手と悪の組織がどこかで繋がっており(原作未読なのでまだ把握してませんが)、といった状況ですよね。またレオ自身も強力な能力を持っている。これらのシナリオは作品においての定石です。本作品が推す「技名を叫んでから殴る」といった特徴は、日本の漫画・アニメ作品に多く見られます。しかしこれも、アメリカ映画を輸入した後に日本的要素を加えたものです。 

★★★

 このように見ていくと、アメリカの映像作品の影響って大きいですよね。アメリカの作品の特徴として「簡単に理解できる」ことが挙げられます。アメリカは多民族国家なので、言葉の壁があります。ですので、映像だけで伝わる「簡単な」シナリオ・演出が好まれます。また「簡単」に理解できるので、子供にも人気が出ます。

これがアメリカ映画が「大衆映画」と言われる理由ですが、日本はこの文化を源流に置きアニメを作ってきました。なので、ほとんどの映画が「アメリカ的」なんですよね。そこから、作品間の差異をどう生じさせるか、という課題を受けて変化していくのですが、詳しくないので省略します(すみません)

長くなりましたが、『血界戦線』は子供が観ても楽しいと思います。「ただパンチ」とか、小学生の間で流行りませんかね。

「簡単」ではない演出

もう一つ、本作の演出についてです。しかし、自分はアニメーションの演出技法などに関して詳しくありません。ですので「他と違って面白い」と感じた演出について話します。

まず全体を通してなのですが、キャラクターを引きで撮っています。構図としては、美しい美術に小さくキャラクターがいる、といった感じです。これではキャラクターの表情や動きが最小限なものになり、また絵を見ただけではストーリーを理解できません。これは賛否両論あり、手抜きだと言われることもあります。シャフトはこの構図を比較的多用してますよね。特徴として、キャラクターの顔を大きく描くのではなく等身を描くことで、映画的・演劇的な演出となっています。もちろん一話全体を通してこの演出ではありません。全体的というだけで、戦闘シーンなど迫力を出したいときは寄って描いています。

中でも自分が好きなのが、3話「世界と世界のゲーム」でのアルルエルの屋敷入口に向かうときの構図です。キャラクターが縦に移動するのを、引きかつ付けPANで撮っていたかと思うと、上手くカットが変わるんですよね(説明自信ありませんが)

★★★

絵コンテを担当された平川哲生さん、『川の光』の監督や『惡の華』の助監督をなさっていた方です。本人が某SNSで話していたのですが、「テレビ作品は他の話数の演出と均衡を保たなければいけない」ので大変だそうです。それにしても、際立った回だったと思います。

これらの演出はパッと見ただけでは伝わりませんから子供には退屈でしょう。しかし、アニメだけでなく映画もたくさん観ている大人にとっては、非常に面白い演出となっています。

アメコミ的であり演出が凝っている『血界戦線』、チェイン・皇さんだけでもいいので観てください。

※あくまで自分の見解なので「その解釈はどうなの?」といった意見があれば、コメントしていただけると嬉しいです。

※4話『BLOOD LINE FEVER』が脚本・演出・作画ともに素晴らしかったので、いつか分析してみたいと思います。

 

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